中古マンションのリノベーションにまつわる苦い思い出

今の家に引っ越して来たのは2年前。高台にある中古マンションの角部屋で、古いけれど眺望と風通しに恵まれた場所です。私たち家族はこの家をとても気に入っていて、時々「この家を買えてよかったね、ずっとここに住み続けたいね」と話し合ったりしています。
けれど、この家を買って入居するまでの間にはトラブルもありました。その時のことは、今でもよく思い出してはひとり反省しています。

私たち夫婦は建築家に依頼して、購入したその家をリノベーションしてもらうことにしたのです。プランは全てインテリア好きな私が建築家との相談で決め、夫には一応時々意見を聞くだけ。夫の方も、リノベーションの内容についてはあまり興味を示しませんでした。私は「強引な進め方だけど、素敵な部屋ができるんだから最後は夫も喜んでくれるはず!」などと独りよがりなことを考えていました。

施工が始まってからは時々家族で現場を訪れ、様子を見せてもらいました。工事が3分の2くらい終わった頃、いつものように現場視察を終え、帰りにファミレスに寄った時のこと。なんだか夫の機嫌がものすごく悪いのです。私は恐る恐る聞きました。
「どうしたの?機嫌悪い?」
「そりゃ、和室あんなふうにされちゃえばね、がっかりするよね」
「…」

私は「寝室になる和室をもっと使い易くしたい」と考え、そのために既存の押入れと床の間を壊し、かわりに壁沿いに細長いクローゼットを作ることにしていました。その結果、和室が工事前よりかなり狭くなったのです。そのことは夫に一応説明してありましたが、きちんと伝わっておらず、そのせいで完成したものを見て「何これ、狭い!」となってしまったのです。口にこそ出さなかったものの、夫は押入れと床の間がついた、工事する前の和室が気に入っていました。私は計画を進めることに必死でそれに気づいていませんでした。

完成の1ヶ月前になって、私ははじめて自分の進め方がいかに強引だったかをまともに振り返り、落ち込みました。自分のせいで、夫はもうあの家を嫌いになってしまうかもしれない。モヤモヤした不満を抱え、夫はこの先何十年もあの家で暮らさなければならない。

けれどそれから1ヶ月後、工事が終わって完成した家を見た夫は満足そうでした。建築家の先生の手腕で家全体がとても心地よく生まれ変わっていたので、和室の狭さも気にならなくなったのだと思います。その和室についても「やっぱりこの部屋、いいね。好きだ」とポツリと言ってくれました。「確かにこの新しいクローゼットは必要だった、住んでみてわかった」とも。夫の寛容さにあれほど感謝した瞬間は、他にありません。

あれから2年以上が経ちます。家はとても快適ですし、夫も満足してくれています。けれど、自分が暴走したことで夫にいやな思いをさせたことはやはり苦い経験で、時が経っても笑い話にはできそうにありません。思い出すたび「せめて、もっと夫に優しくしなきゃ」と、自分に言い聞かせている私です。